私が2015年初頭に書いた一岡竜司投手に関する記事のアクセス数が未だに非常に多い状態にあります。もう半年前ほどの記事になるのですが、やはりこれだけ多いということはそれだけ一岡竜司投手に関する関心の高さかと思います。
さてその一岡投手ですが、先日21日に出場選手登録を抹消されました。今シーズンの成績は15試合に登板し14イニングで失点12(自責点11)、防御率は7.07という数字です。抹消前の20日に行われたドラゴンズ戦に登板しますが1イニングで3安打1四球を許して4失点という結果に終わりました。この結果を受けて21日に抹消されたのでしょう。

まず今シーズンの一岡投手が結果を残せていない原因として、昨シーズン比のデータ上では次の3点です。(もちろんこれ以外もありますが、特に注目するべき項目として)

・被打率の上昇(.152→.296)
・BB/9値の上昇(2.03→5.79)
・被出塁率の上昇(.204→.406)

でしょう。

今シーズンの一岡投手を見ていると、やはりストレートの質が昨シーズンとはまるで違うものになっていることが分かります。今シーズンの最高球速は148km/h、昨シーズンが151km/hで2km/h最高球速が低下していますが、ここは問題ではないでしょう。今シーズンも昨シーズンのような良いストレートを投げるシーンも見られます。しかしその頻度が非常に低いのです。今シーズン、中には130km/h台のストレートも見られるくらいです。もちろん球速が全てではありませんが、ある程度球速で判断するべきでなのでしょう。



現状の一岡投手の大きな課題はピッチングフォームにあると感じます。ピッチャーのピッチングフォームをよく見ていくと、右投手の場合には軸足である右足から前に踏み込んだ左足へ体重移動をし、ボールを離します。この時より打者の近い場所でボールを離すことで球威や球速を出します。よく「球持ちが良い」とTV解説なので言われるのがこのことです。当然ながらボールを離す位置から打者までの距離が少しでも短い方が球速が出ます(正しく言うと球速が落ちない)。

一岡投手の課題はまさしくこの体重移動で、体重が左足に乗らないうちにボールを離しているのです。この結果、ボールに充分なエネルギーが伝わらずに球威、球速が低下しているのです。またボールを離す位置が早いですから、ストレートを投げたつもりでもシュート回転してしまったり、フォークボールも落ちが早くて見切られる、もしくは抜けるようなフォークボールが多くなり打者に捉えられるという傾向が非常に多く見えます。余談ながらフォークボールの被打率(スプリット系含め)が昨シーズンの.143から.300への大幅に上昇していますが、これも偶然ではなく体重移動が原因でしょう。

現段階での改善点では体重移動のスピードを早くすることでしょう。「早くする」という書き方は語弊があるかもしれませんが、重心が左足に移る時に身体も左足に体重がかかるようなイメージが理想です。参考までに上の動画で岸孝之投手のフォームを載せているのですが、非常に綺麗な体重移動と力感が取れた美しいフォームです。

このように体重移動がおかしくなってしまって調子が降下するリリーバーは少なくありません。そのほとんどが登板過多による疲労が原因です。一岡投手の場合には昨シーズン肩を怪我していますが、今の状態との因果関係はわかりません。肩を庇って投げるなど因果関係はゼロではないでしょうけれど、今回の抹消に至った不調とは切り離して考えるべきかと思います。
重要なのはフォームを崩してしまう前に、抹消するなり登板間隔をあけることで疲労を抜いてあげないといけません。体重移動が上手く出来ていないまま投げ込んでこのフォームを身体が覚えてしまった場合、これは直すのは大変な話です。しかし早い段階で疲労を抜いてあげれば、完全にフォームや体重移動を崩さないまま再調整が効くので、比較的早期に復帰できるでしょう。
気になるのは一岡投手が開幕直後からこのような状態であったことです。そして開幕から2ヶ月が経過しようとしている時期に抹消という形でした。チーム事情もあったかとは思いますが、少々抹消するのが遅すぎたようにも思います。ここは毎日ブルペンで見ているブルペン担当の投手コーチがしっかりフォームを分析して、もっと早く抹消してあげたかったように思います。

ファームで疲労を抜いて、しっかりボールにエネルギーを伝えられる状態になってからまた1軍のマウンドに復帰して欲しいと願っています。
 



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